Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第34章 迷子の恋心《白布 賢二郎》
………えぇぇぇえ!?
私が瀬見を好きって…なんでバレたの!?
『ちょ、しら、まっ、落ち着、いて?』
「俺は落ち着いてますから。とりあえず先輩が落ち着きましょうね」
こくこく頷きながら、白布の隣に座る。どうしようなんでだ。いつどこでどうバレた。
「なんでバレたの、と思ってます?」
『っはい!』
「顔に書いてあるんですよ」
くくっと喉で笑いながら、白布は言った。そんなに分かりやすいのか、私は…
「先輩本当に分かりやすいですから」
『え、白布エスパー!?』
驚く私に、さっきよりも大きく白布が笑う。
「俺が見たところ、先輩の恋が成就する可能性って低いですよ」
『…知ってる。瀬見に好きな子がいるのも、私が片想いで終わるのも知ってるよ』
でもね、好きなんだよ、白布?例えさっきの本みたいに想いが一方通行でも、私が瀬見を好きでいたいだけなんだ。
「そうですか。なら先輩、瀬見先輩じゃなくて、俺と付き合ってくれません」
『……え?』
理解、できない。いや言葉の意味は分かる。でも、なんで、白布が?頭がこんがらがる私に、白布はもう一度言った。
「俺と付き合ってください」
『…え、待って。待とう、白布。私が瀬見のこと好きなの知ってるよね?』
「はい」
『その上で、それ言ってる?』
「はい」
いつもと違う、真剣な目。あまりにまっすぐ白布が見てくるもんだから、うっかりその目に引き込まれそうになる。でも、
『…ごめん、白布。私は…っ!?』
捕まれたままだった腕をぐいと引かれ、体勢を崩す。気が付いたときには、白布に抱きしめられていた。
『しらb…』
「先輩、好きです」
『ちょ…もっ放してっ!』
ドンッと胸を突き飛ばし、腕を振り払って立ち上がる。さすが男子、力が強い。おもむろに白布も立ち上がり、私をじっと見詰める。
その目線に本能で危機を感じ、逃げ道を探す。が、部室に唯一のドアは白布の後ろ。脱出は最早、不可能だった。
唇に薄く笑いを浮かべた白布。じりじりと追い詰められ、トンッと背中が壁に当たる。そして顔の両横に、白布が手を突いた。
「先輩…」
『し、白布、ちょっ、ま、わ、たし…///』
近付いてくる白布の顔。もうダメ。私のファーストキスは白布に盗られるのね…そう覚悟した瞬間、おでこに何かが当たる。