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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第33章 ★君と俺の8秒間《瀬見 英太》



ひとしきり俺をからかった後、天童は再びニヤリと笑い、うねうねと踊りながらノートを録る蒼井に近付く。

「海宙チャーン!」

『どしたの』

「昨日発売のジャンプってもう読んだ?」

『あー、まだ読んでないや…覚は?』

「フッフッフ…バッグにあるんですネ~!」

『ほんと!?あとで貸して!』

「イーヨ」

やったー!と手を上げる蒼井。満面の笑みで喜ぶ姿は、まるで小学生。小柄な身長と相まって、高校生にはさらさら見えない。

そして天童とはしゃぐ蒼井に胸の辺り、ちょうど真ん中らへんがギュッとなる。

バレー部のマネージャーをやっている以上、他の男と話すのは仕方ない。けど、あんな風に楽しそうにしているのを見ると、やっぱりモヤッとするもんだ。かといって"誰とも話すな"というわけにもいかない。

「どーすっかなぁ…」

一人頭を悩ませていると、キャーッという悲鳴が聞こえた。振り向くと目にうっすらと涙を浮かべた蒼井が叫んでいる。

『きゃー、英太ぁ!覚がヘンタイッ!』

「あ"ぁん!?」

だっと走り、俺の後ろに隠れる蒼井。と声を荒くすると、わたわたと顔の前で手を振りながら蒼井が焦ったように言った。

「違う、英太クン誤解ダヨ!!」

『ううん、間違いなく触ってきたもん』

「どこをだ!?」

『……………首の後ろ』

たっぷり5秒待った後、ぽつりと蒼井が言った。首の、後ろ?

「…くすぐったいのか?」

『だってこしょばいじゃん!こう、背筋がぞわわわ~ってなるもん。え、なんないの?』

「「ならない…な」」

顔を見合わせた天童と俺。ええぇっ!?と不満の声を漏らす蒼井。そんなにくすぐったいか、首の後ろって。そう思って蒼井のうなじをつっつく。

『ひゃっ!?』

「あ、マジだ」

『もぉっ、こしょばいの!』

ぷうっと頬を膨らませる蒼井。お、蒼井の新しい顔、発見。唇を尖らせる蒼井の頭をぽんぽんと撫で、今にも怒鳴りそうな監督の方へと走って集合した。

"今日もまた、俺は君に恋をした。"

なんて、口が裂けても言えないな。


   
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