Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第32章 ★男前な彼《岩泉 一》
寝転がると、すぐに蒼井が抱き付いてきた。こうしてると安心すんのかな、と思いつつ背中を撫でてやる。
『ねぇ、岩泉…』
「ん?」
『岩泉が助けてくれて、私すごく嬉しかったよ。さっきも言ったけど、ありがとう』
眠たいのか、とろんとした目で見てくる蒼井。あー、ヤバい。何がヤバいのかって、俺の理性がヤバい。
「わーったから、早く寝ろ」
『うん…』
そう言いながら、俺の胸にすり寄ってくる蒼井。ふくよかな胸がぐいと押し付けられるのを感じ、生唾を飲む。
そして不意に今の状況を理解する。俺と蒼井はベッドの上、で窮屈なくらいに寄り添って密着してる。
手ェ出しちゃダメだって分かってるけど、理屈では分かってるけど。本能が、めっちゃヤバいじゃねーかよ、危ねーんだよ!
『すぅすぅ…』
蒼井は俺の脳内で繰り広げられる理性と本能の攻防も知らずに寝てるし…
「あークッソ…」
今夜は寝れなそうだな、と覚悟した瞬間。
『…ん、いわいずみ……すき、すきぃ…』
むにゃむにゃと寝言を呟く蒼井。ダメだこいつ、無防備な天使で悪魔だ。めっちゃ幸せそうに微笑んでるし。つーかこのタイミングで普通言うかよ。聞いてるこっちが恥ずかしいんだよ。
内心で毒づきながらも、すやすやと眠る蒼井にそっと言う。
「俺も好きだよ、ばーか…///」
すると閉じていた蒼井の目がぱちっと開く。やべ、聞かれてたか…?
『いわいずみぃ…ちゅう、して…?』
とろん、と寝惚けた目で見てくる蒼井。んしょ、と少し上に動いて俺を真正面から見詰める。
『ゆめだもん、いいよ、ね…?』
そう呟くと、俺の顔に唇を寄せる。そうか、蒼井は夢だと思ってんのか。ならこっちも利用させてもらおう。なんてったって理性がもたない。
「蒼井、好きだ」
『っあ、岩泉…え、夢じゃな…ん、えっ?』
「キョドりすぎだろ」
苦笑する俺の目の前で、蒼井は百面相を繰り広げる。それからこう言った。
『あれ…岩泉に私、好きって…?』
「言った」
『ちゅ、ちゅうしたいって…』
「言った。だからもう、遠慮しねェから」
『ちょっ、まっ…んっ!?』
蒼井からの返事も待たずに、俺は唇に噛み付くようにキスをした。