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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第32章 ★男前な彼《岩泉 一》



『お待たせしました、生2つでーす!』

とんっとビールを2つ置く。よし、任務は終わった。あとは戻るだけ…と安堵した瞬間、恐ろしいことが起きた。

ヤマモトの手が、私の太股を触っている。

『なっ、なにするんですかっ!?』

バシッと振り払うと、ヤマモトはニヤリと笑った。ゲスい、キモい、触るなクズ。

「いいじゃん、減るもんじゃないし~」

下品な笑いを浮かべながら、ヤマモトはその手を私のお尻に這わせる。気持ち悪くて身がすくんで声が出ない。誰か、助けて…

『いっ、やだっ、いわ、岩泉ぃっ!』

「どうし…テメ、なにすんだボゲッ!」

ガツッと鈍い音がして、ヤマモトが倒れる。後ろによろけた私を受け止めたのは、怒りで顔を鬼のようにする岩泉だった。

ヤマモトは殴られた左頬を押さえ、口から唾を飛ばしながら叫んだ。

「何するんだ!」

「ふざけんなッ!客には客の節度ってもんがあんだろーが!大人のクセにんなことも分かんねーのか、あ"ぁ!?」

「先に暴力をしたのはそっちだ!」

「女の体触っといてなにほざいてやがる。そーゆーことは別んとこでやれ!」

怒鳴り返す岩泉は、今までに見たことがないくらい怒っていて。ヤマモトはあれこれ弁解するも、岩泉の敵じゃない。そして2人の口論は段々とヒートアップする。

「す、少しなら触ったっていいじゃないか!」

「野郎に触られた気持ち分かるか!?」

「だからっ、客に何を言うんだ!」

「テメェなんざ客でもねェよ!」

「こんのガキッ!」

ヤマモトが掴んで振り上げたのは、ビールの入ったジョッキ。危ないと思って腕で咄嗟に顔を庇う。がつんっ、という痛みと、水の掛かる感覚。

あ、マジで、キレた。

閉じていた目をゆっくり開くと、ヤマモトの顔には恐怖と怯えが映っていた。岩泉に無言の圧力をかけ、黙らせてからヤマモトに向き直る。そしてとびっきりの笑顔。

『おいクズ、この度はご来店ありがとうございました。テメェを警察に訴えようかと思いましたが、何分私たちも学生でして、面倒事は困るので…二度とその意地汚い面を私たちの前に晒さないということでよろしいですか?』

「いや、でもっ」

『よろしいですね?』

反論できないよう、もう一度念を押す。するとヤマモトはこくこくと頷き、慌ただしく財布から諭吉を3枚出すと、そのまま逃げるように出ていった。


   
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