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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第32章 ★男前な彼《岩泉 一》



「岩泉くんに海宙ちゃん、今日もお疲れさまでした。いやぁ、若いのは活気があるから良いねぇ!」

『そんなぁ。私たちだって、社会勉強になりますもん。ね、岩泉?』

「おう」

大学のお兄さんたちにシフトチェンジした私と岩泉は、お店の裏手にいる。時刻は午後10時近く。しばらく駄弁った後、おじさんは茶色の封筒を2つ出した。

「今月分ね。2人とも頑張ってくれたからちょっとオマケ、しといたよ」

女房にはナイショな?と笑うおじさんはいたずらっ子みたいで。岩泉と顔を見合わせてクスクスと笑った。それからおじさんに挨拶をして、帰り道を辿る。

こうして並んで歩くようになって、もう随分たつ。ふと、隣の岩泉に話し掛けた。

『ね、岩泉』

「あ?」

『岩泉は部活に入ってるのにどうしてバイトもしてるの?大変じゃない?』

岩泉はバレー部に入ってて、プラスバイトともなれば相当ハードなはず。だが、彼から返ってきた答えは、全く予想していないものだった。

「小遣い稼ぎ、あと部費の足しに。大変かって言われたら大変だけど。まぁ実際問題両立できてるし、別にいいだろ」

だべ?と言う岩泉に、返す言葉が見付からなかった。小遣い稼ぎなら分かる、私だってそうだし。それより部費の足しに、なんて。しかも両立できてるから別にいい、なんて。

『ちょ、岩泉ってば男前すぎでしょ!』

「いって、おま、叩くなや!」

ばっしばっしと肩を叩くと、岩泉は顔をしかめた。それから私に、でこぴーん。反撃に更なる反撃をと、背伸びして頭をはたく。

「いってーな…ったく、人がせっかく肉まんでもおごってやろうと思ったのによ」

『え、うそ、そうだったの?ごめんごめんごめんなさい!食べる、あんまんがいい!』

「オーダーまですんのかよ」

ペコペコ謝る私に、岩泉は笑った。それから本当にあんまんを買ってくれた。コンビニの前ではふはふ言いながら頬張る。岩泉の買ってくれたあんまんは、いつもより、ちょびっとだけ、美味しかった。


   
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