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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第32章 ★男前な彼《岩泉 一》




【蒼井 side】


夕方に開店、深夜過ぎまで営業している居酒屋さん。店主はおばあちゃんの兄弟のおじさんだから、働きやすい。お客さんも地元の人が多いから、安心できる。

それが、今のバイト先。

黒いカフェエプロンをまとい、同じく黒い三角巾。エプロンのポッケにはボールペンとメモ。これが今の私の戦闘用装備。

カラカラと戸の開く音がする。バッと振り向くと、仕事帰りらしい30代の男性が3人。神にも等しいお客様のご来店。

とびっきりの営業スマイルを顔面に張り付け、私は声を張り上げた。

『いらっしゃいませー、何名様ですかー?』

「3人。後からもう2人来ます」

『かしこまりましたー。それではあちらにあります奥のお席へどうぞー!』

席まで案内し、カウンターの中の同級生のバイト男子に声を掛ける。

『岩泉、お水3つ!』

「おう!」

受け取ったお水を、手際よくテーブルに並べる。と、お客さんのうちの1人が言った。

「お姉ちゃん、可愛いね。何歳?」

ピシッと青筋が浮きそうになるのを堪える。こういう客はたまに遭遇する。対処用のマニュアルは頭に叩き込んである。

『ごめんなさい、お兄さん。カッコいいお兄さんともっとお話ししたいですけど、私バイト中なんでぇ。それと、女性に年齢を訊くのはおすすめできませんよ』

にこっと最上級の笑顔を浮かべ、ごゆっくりどうぞ、と言って立ち去る。ちなみに後ろを向いた瞬間に笑顔は消えた。さて、それを見た岩泉は苦笑して一言。

「蒼井って、なんかすげェな」

『アリガト。ってかあんな自意識過剰なヘンタイヤロウ1人さばけなかったら、居酒屋でバイトなんてやってられませーん』

「それは言ってやるなよ」

ニシシッと歯を見せて笑い合う。そんな私たちに、店主のおじさんは仕事だー!と叫ぶ。トレイなんてないから持てる限りのお皿を抱え、店内を走り回る私たちなのだった。


   
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