Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第4章 ★クリームよりも甘く《花巻 貴大》
俺らが近付くと、彼女も小走りで駆け寄る。
『やっほー、来ちゃった』
「大学は、いいの?」
ふわりと笑う彼女に、俺は訊いた。
『えへへ、午後から休講になったの。なんか教授が忙しいとかって』
「ほー、ラッキーなもんだな」
そんな会話をしていると、及川が叫んだ。
「あーっ!?海宙先輩!?」
『ご名答!』
ブイサインをする彼女。岩泉と松川も思い出したようだ。
彼女―蒼井海宙―は、俺らが1年の頃の3年で、バレー部のマネージャーだった。何かとお世話になったので、記憶にも色濃く残っているだろう。
『みんなの活躍は耳にするよー。月バリにこの前とーる載ってたし…てかさ、みんなおっきくない?貴くんはいいけど、はじめもいっせーも。伸びた?』
海宙は自分と高さを比べる。背伸びしたりぴょこぴょこ動くのがかわいらしい。
「伸びてるからね!成長期!」
『そっかー。みんな元気だった?』
「ウス。先輩は…?」
『うん、元気元気。顔見れて良かったー、なんか学校まで来たかいあるカモ』
ふふ、と微笑む彼女。
『じゃあ、またね。貴くん行こっか』
「おう。じゃーなー」
「スットオォォォオップ!!!」
歩き出そうとした俺らを、及川が止める。
「待って、何故にマッキー行っちゃうの?」
『あれ、貴くんまだ言ってないの?』
「あー、めんどくて言ってねえ」
俺はがしがしと頭を掻きながら言った。
「待って、及川さんイヤな予感するよ!?」
『私たち、これからデートなの』
「あー、俺ら、付き合ってんだわ」
呆気にとられて何も言えない3人を置いて、俺は歩き出した。勿論、海宙の手をとって。明日になったら質問攻めだな…とか思いつつ、歩みを進める。
そう、俺と海宙は付き合っているのだ。