Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第4章 ★クリームよりも甘く《花巻 貴大》
子供みたいに繋いだ手をぶんぶん振る海宙。はしゃぐのも当然か。会うのはたしか2週間振りくらいだ。俺の部活が忙しくてなかなか時間を作れなかった。
「悪かったな」
『なぁに、急に?』
「いや、しばらく部活で会えなくて…」
そういうと、海宙はキョトンとした。それからプッ、と吹き出し、声を上げて笑い出した。
『そんなの気にしないよ!私は貴くんに会えれば元気になるし、笑ってるトコが一番好きなの。バレーしてるのも好きなの。ね?』
「かわいいこと言うと、喰っちゃうぞ?」
『ふふ、どうぞ?』
挑発的に見上げる海宙。きっと、いつになっても俺はこいつに敵わないだろう。
『そうだ、貴くん今日は泊まる?』
海宙の言葉に、俺は面食らった。まさか彼女の方から言ってくると思わなかった。
「俺的には嬉しいけど…」
『明日も土曜日だし…あ、部活は?』
「午後の練習試合だけ」
『じゃあ、良いかな?』
「おう…」
歯切れの悪い俺。彼女との関係で、ちょっと悩むことがあるから、尚更。そんな俺を誘うかのように、彼女は呟いた。
『んふふー、シュークリームあるんだ。駅前のケーキ屋さんの、限定50個』
「な、限定!?」
"シュークリーム"という単語に、俺は飛び付いた。あの駅前のケーキ屋、一回は食いたかったけど、限定だし放課後にはすっかり売り切れだ。
『食べる人ー?』
「食う、食います、絶対行きたいです」
『よろしい。じゃ、レッツゴー!』
そんなわけで、今日は海宙の家にお泊まりすることになった。