Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第31章 ★お仕置きしましょ?《黒尾 鉄朗》
【蒼井 side】
どうしてこうなったんだろう?
視界いっぱいにクロさん、クロさんは私の大好きな彼氏。そのクロさんに、どうしてこんなことをされてるんだろう?
どうして玄関で押し倒されてキスしてるの?
『…んっ…ふ、ぁ…んん!』
酸素を貪るようなキスに、空気を求めて口を薄く開ける。ほんの少しのその隙間に、クロさんは舌を捩じ込んだ。
驚いた私が舌を奥に引っ込めると、クロさんの舌がそれを追う。おずおずと差し出した舌を、クロさんは絡めるようにキスをした。
そうやってどれくらいキスをしていたのか分からない。でも、頭がボーッとして、体の芯が熱を持ってきている。
『んっ、んんー、んーっ!』
もう限界、お願いクロさん、離して。そう思って唸ると、互いの唇のくっつくギリギリの所でクロさんが言った。
「うるせ。みそらは少し黙ってろ」
『な、で…こな、こと…』
途切れ途切れに訊くと、クロさんはハンッと鼻で笑った。それから体を離して起き上がると、私の唇をつぅっと指でなぞった。
「なんで、か…それはみそらが一番分かってんじゃねーの?」
『ふぇ…?』
「ま、いーや。でもとりあえず、今日は…」
せいぜい俺のこと愉しませろよな?
耳元で低く言われ、びくりと背中を震わせた。明らかに怯える私に、クロさんはクックッと喉の奥で笑った。それから私を俗に言うお姫様だっこにし、寝室へと運ぶ。クロさんにしがみつきながら、ぼんやり思う。
今までにクロさんとエッチなことは何度もしてきた。でも、こんなのは初めてだった。クロさんはたまに激しくなるけど、いつも私のことを心配して、優しくしてくれる。
だから、さっきの言葉が頭から離れない。"俺のこと愉しませろ"なんて、いつものクロさんなら言うハズないから。
「ナニ考えてんの?」
ハッと意識が戻ってきたのは、クロさんの声が聞こえたからだった。変わったのは背中にあるのがフローリングでなくベッドだと言うことくらいで、あとはさっきと同じように押し倒されていた。
『クロさん、あの、シャワーとか…』
「いらね」
気まずい空気が耐え難くて逃げ道を作るも、いらないと一蹴された。私を見下ろすクロさんの目は冷酷そのもので、今まで目にすることのなかったその視線に戸惑うばかりだった。