Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第31章 ★お仕置きしましょ?《黒尾 鉄朗》
じゃあ、木兎さんと約束あるんで。
数分前、赤葦は唐突にそう言うと、さっさと人混みに紛れて行ってしまった。180を越える黒い頭は、すぐに遠くへと行った。
『赤葦、帰っちゃったね』
「だな」
『もうちょっと話したかったな』
その一言に、また、イラッ。俺がいんのに赤葦と話したいとか、なんなんだよ。
「赤葦と話したかったのって、何?」
『クロさんには秘密!今度教えたげるね』
またしても、イラッ。俺に言えないのに赤葦には言えるって、なんでだよ。
あ、まただ。
また、どろどろしたのが溢れてくる。
ムスッと不機嫌になった俺を、みそらは下から覗き込むように見上げる。
『クーロさん、どうしたんですか?』
「なんでもね…」
『そうですか…あ、そういえばさっき赤葦と話してたんですけど、今度赤葦の入ってるバレーサークルで試合があるって。それで、よかったら赤葦が応援に来てほしいって…』
そこで、堪忍袋の緒が、プッツンと切れた。
「なんっだよ!」
急に怒鳴った俺に、みそらはびくっと肩を震わせた。それから不安気に俺を見る。
『クロさ…』
「口を開けば赤葦赤葦赤葦って、お前そんっなに赤葦のこと好きなのかよ!?」
『違っ…そんなわけないっ!私が好きなのはクロさんで、クロさんも知ってるでしょ?』
あぁ、知ってるよ。
さっきだって言ってたもんな。
「…そうだよ、みそらが好きだよ」
俺の言葉に、ホッとしたような表情のみそら。なのになんでか、それを見ただけでますますイライラが募った。
『じゃあ…』
「なら、俺が何しても怒んねぇよな?」
『クロ、さん…?』
「行くぞ」
何か言いたそうなみそらの腕をガッと掴み、そのまま早足で歩く。俺の方がデカいから、みそらは駆け足になる。トットッと追い掛ける足音に振り向けば、困惑した表情のみそらがいた。
向かった先は、俺のマンション。大学に入ってからは一人暮らしなので、部屋には誰もいない。カギを開けドアを乱暴に開ける。
『クロさん、どうし…きゃっ!』
悲鳴を上げるみそらを部屋の中へと突き飛ばす。倒れ込んだみそらに覆い被さり、そのまま荒々しく口付けをした。