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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第31章 ★お仕置きしましょ?《黒尾 鉄朗》



みそらとのデート、そこに赤葦が混ざるのは今に始まったことじゃない。みそらは高校時代から赤葦と仲が良く、それは大学に入っても変わらない。

付き合っているのは俺。でも、一番日常で距離が近いのは赤葦。残念ながら、それが俺達の日常。だから休日のデートでイチャコラしたいのに、これだ。

『クーロさんっ、元気ないですよ?』

「そうですよ、黒尾さん」

「赤葦の裏声キモい」

みそらの左手を握りつつ、ちゃっかり右手を繋いでいる赤葦を睨み付ける。みそらはそんなのを気にする風もなく、流行りの服のショーウィンドゥに駆け寄った。

カワイイを連呼しているだろうみそらの後ろ姿を眺めていると、隣に赤葦の気配を感じた。

「黒尾さん、本当に蒼井のこと好きなんスか?俺にはそう見えませんけど。なんなら俺が蒼井さんを貰っちゃおうかな」

モテるヤツの余裕というか、赤葦は俺とみそらが付き合っているのを知っていてもアプローチする。ことごとくみそらはNOと言うが、それを真横で見るカレシとしては、気分は良くない。

「だってほら、俺は蒼井とは高校から仲が良いし。黒尾さんよりも蒼井のことたくさん知ってますよ?」

「おい、赤葦」

俺のイライラも分かっていて、それでもなお、赤葦は言ってくる。

「例えば、漢字は上手いのに平仮名は丸いとか。卵焼きは甘いのが好きとか。最近観て感動した映画はたしか…」

「赤葦、いーかげんにしろ」

少し低い後輩を、ジロリと睨む。赤葦は肩をすくめて、それからニヤッと笑った。

「ま、つけ入る隙はなさそうですからね。でも少しでも離れたら容赦しないですよ」

そう言うと、赤葦はみそらとショーウィンドゥの服を見に向かった。みそらが赤葦の隣にいるのを見ると、それに苛立つ自分がいるのが分かる。

みそらが赤葦と笑うのを見ると、どす黒い感情が胸の内に溢れる。どろどろと、底無し沼のように。

「らしくねぇな…」

ハハッ、と嘲るような乾いた笑い。

嘲る、誰を、何を?

赤葦、それとも俺自身を?

笑顔で手招きするみそら。いつもならそれで吹き飛ぶモヤモヤも、今回ばかりはそうはいかなかった。


    
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