Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第31章 ★お仕置きしましょ?《黒尾 鉄朗》
【黒尾 side】
俺の1つ下の彼女、名前を蒼井海宙という。女子にしては背が高く、かなりの美人だ。たまに出る天然なところもかわいい。
そんな彼女と、デート中。
が、俺は不機嫌だ。
向かいの席でスタバのフラペチーノを美味しそうに飲む彼女がいようと、不機嫌だ。
『クロさん、どうかしました?』
「そうですよ、どうかしました?」
「お前が一番の問題ダロ、赤葦?」
「はて、ナンノコトデショウ?」
海宙の隣でしらばっくれる奴、そいつは赤葦京治という。海宙と同じく梟谷の卒業生で、大学では後輩になった。その赤葦、俺の彼女にちょっかいを出す。
「蒼井、なんで黒尾さんなの?」
『え、クロさんカッコいいじゃん』
「あ、蒼井顔で選ぶタイプ?」
『参考にはするね。一番は中身が大事。クロさんはね、頼りがいがあって、時々意地悪だけど本当は優しくて、寝癖がキュートで、ファッションセンスが良くて、笑い方が少し変わっていて、お魚焼いてあげたら喜んで食べてくれて、捨て猫がいたら拾う人で、それから…』
「うん、ごめん、訊いた俺がバカだった」
いつまでも延々と続きそうな海宙の言葉を、赤葦は自分がバカだと結論付けて終わらせた。それよりも、だ。
「これおかしくないかなキミタチ」
「『なにが?』」
「全部だよ、全部ッ!海宙と俺のデートに赤葦がいるのも、海宙の隣が俺じゃなくて赤葦なのも、全部!」
「黒尾さんの勘違いじゃないスか」
「赤葦、死にたいの?」
生意気な口をたたく赤葦の足を、テーブルの下で思いっきり踏んでやる。赤葦が軽く顔をしかめたのに気付かない海宙は、ストローでチューチューフラペチーノを飲んでいる。
「海宙」
『はい?』
「君のカレシはだぁれ?」
『もちろん、クロさんですよ?』
「そうだよね、良かった」
フラペチーノ飲む?と訊く彼女に、頷く。渡されたフラペチーノをじゅーっと吸う。うん、甘くて冷たくて美味しい。
「リア充っスね」
『赤葦も彼女作れば?』
「じゃあ蒼井がなってくれる?」
『お断りします』
ニコリと笑う海宙。心でカメラのシャッターを押し、フラペチーノをもう一口だけ飲んだ。