Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第30章 カレカノ指南?《青根 高伸》
二口先輩と海宙ちゃんの計らいもあって、私たちは現在部室に2人でいます。ど真ん中に置かれたベンチに座り、栗きんとんをもぐもぐする高伸さん。
『美味しいですか?』
「うん、旨い」
小さな栗きんとんはあっという間に高伸さんの口の中へ吸い込まれていく。全部食べ終わると、高伸さんは満足そうに頷いた。
「旨かった」
『良かった。また作ってきますね』
そう言って私が笑うと、高伸さんの口許が少しだけ弧を描いた。あ、笑ってる。そしてその口許に栗きんとんの欠片が付いているのに気が付いた。
『高伸さん、栗きんとん付いてます』
「?」
高伸さんが口の周りを触るも、栗きんとんの欠片は付いたまま。なんだかもどかしいな。
『ちょっと失礼しますね』
私はそっと手を伸ばして栗きんとんの欠片をつまみ、自分の口に放り込んだ。
「っ!?」
『ん、あまーい!って、高伸さん?』
ズザザザザッと高伸さんは私からものすごい勢いで退いた。そしてその頬は、分かりやすく赤く染まっている。
「急に、触るな。びっくりする…///」
フイっとそっぽを向く高伸さん。それがかわいかったから、少しだけからかってみる。
『えぇ~?高伸さんだって私のこと急に触ったりするじゃないですか。頭撫でたりとかぎゅって抱きしめたりとか』
「それは…///」
明らかに動揺する高伸さん。面白くって少しずつ距離を詰める。私が近付くと、高伸さんは少し距離をとる。それの繰り返し。
そしてベンチの一番端っこに2人で並ぶ。なおも逃げようとする高伸さんに、私は苦笑しながら言った。
『高伸さん、あの、離れないでくれますか?なんとなくですけど、傷付きます』
「っ!それは、悪い…だが、」
紫乃がそんなことするからだ。
耳元で低く呟かれると、すっぽりと高伸さんの腕の中に収まっていた。