Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第30章 カレカノ指南?《青根 高伸》
バレー部の練習している体育館では、部員たちがゲーム形式で練習をしていた。
「こんにちは、蒼井です」
『歌川です、差し入れ持ってきました!』
「おーし、じゃあ一旦休憩!」
二口先輩が叫ぶと、いつも通り部員たちが駆け寄ってきた。威圧感がスゴいです。
「あんたたち、とりあえず汗拭いてからにしなさい!臭いが2人に移るでしょ!」
滑津さんが叫ぶと、走っていた部員(先頭は黄金川君)は急ブレーキをして、滑津さんの方に向かった。その群れからはみ出した長身の2人がのしのしとやってくる。
「海宙!」
「堅治さんこんにちは」
『高伸さん、練習お疲れさまです』
高伸さんはこくりと頷くと、わしわしと私の頭を撫でた。痛くないように加減してくれてるんだろうなって思うと、嬉しいし照れ臭いしで頭が混乱しちゃう。
「今日は何を作ってきたんだ?」
『えっと、二口先輩が高伸さんは栗きんとんが好きだって言ってたから…』
カバンからタッパーに入った栗きんとんを出して渡すと、高伸さんが驚いた顔をした。
『あの、高伸さんに、食べてほしくて…』
「紫乃…」
「ヒューヒュー、青根やるぅ!」
「堅治さんっ!」
「二口…」
「2人とも睨まないで!海宙はカワイイ顔が台無しだから、青根はただ怖ぇ!」
二口先輩を海宙ちゃんがずるずると連行。そのままそっちで話始める。他の部員たちには普通にクッキーを焼いてきたのだ。
「俺だけ、栗きんとん?」
『うん。栗きんとんは高伸さんに、だけ…』
"高伸さんにだけ"。貴方だけが特別ですよって言ってるみたいで、口にすると思ったよりも恥ずかしかった。照れ隠しにえへへと笑ってみると、腕を引かれた。
『わっ!』
高伸さんに抱きしめられてると分かったのは、目の前に固い胸板があったから。背中に回された腕が、ぎゅうっと抱きしめる。
『高伸さん、ちょ、苦しいです…』
「悪い、加減が…」
圧迫感が緩まったので、私も高伸さんの背中に腕を回した。ぎゅーっとすると、お互いの体温が伝わってくる。
「ありがとう、紫乃。すごく嬉しい」
『良かった』
"ありがとう、紫乃。"
たった一言、言われただけなのに、私は幸せが溢れてくる。高伸さんが大好き。他の部員たちがいることも忘れて、私たちはしばらく抱き合っていた。