Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第30章 カレカノ指南?《青根 高伸》
『部活の帰り道、いつも家の近くのコンビニまで送っていってくれるんです。
私の家は学校から徒歩で20分くらいと、高校にしてはかなり近い位置にあって。一度部活帰りは疲れるでしょう、と言ってみると、
「紫乃を一人で帰らせるのは危ない」
『いや、高伸さんも疲れるだろうし…』
「どうということはない」
という具合にあっさり却下された。それからは高伸さんの部活が終わるのを待って、一緒に帰るようになっているんです』
そこで言葉を区切ると、二口先輩が驚ながら食い付いてきた。
「え、待って待って。ここまでの話を聞く感じだと、青根に問題なさそうだぞ?」
『はい。でも会話が…』
「続かない、だよな?」
合ってる?と訊く二口先輩にこくりと頷く。
『問題はここからなんです。一緒に帰るようになったのは良かったです。高伸さんといられる時間が増えたことも嬉しいし、隣にいるだけで良いんです。
でも、話が続かないのは少し寂しくて。
例えばクラスのこと。例えば部活のこと。
なんてことない話題でも、二口先輩と海宙ちゃんならたくさん話せるんだろうな、とか、思っちゃって』
そこまで話して、はぁっとため息を吐く。
どうして私たちは上手くいかないのかな。
「紫乃ちゃん…そんなことが…」
「んー、でもさ、青根と付き合うって時点である程度は分かってたことじゃねーの?」
海宙ちゃんがキッと睨むと、いや紫乃ちゃんを悪く言ってんじゃなくて、と顔の前で手をぶんぶん振った。
「青根はさ、見た目がコワモテだし、無口で無愛想だし、はっきり言ってモテないし。でもそんなアイツを好きになって付き合うってことは、紫乃ちゃんにも覚悟が…あー、なんて言ったらいーんだろ?」
「堅治さんは日本語能力無いです」
「俺の話はいーの!」
そんな2人に少しだけ笑い、ストローでカフェオレを飲む。ミルクがたっぷりのはずなのに、なんでか、とても苦かった。