Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第30章 カレカノ指南?《青根 高伸》
二口先輩はコーラを飲み、おかわりに向かった。海宙ちゃんと2人きりになり、女子トークを始める。
「ごめんね紫乃ちゃん。堅治さん連れて来ない方が絶対良かったよね」
『ううん、いてくれて良かったよ。二口先輩は高伸さんと同じ学年だし、私より付き合いも長いから参考になるし』
「ねぇ、1つ気になってたんだけど」
『何?』
「どうして青根先輩を好きになったの?」
その言葉に、初めて高伸さんを見た時のことを思い出し、かぁっと顔に熱が集まる。そんな私を見て、海宙ちゃんはクスリと笑った。
「紫乃ちゃん、分かりやすいね」
『そ、そうかな…?』
「ね、なんで好きになったの?」
『4月にね、高伸さんに助けてもらったの』
「助けてもらった?」
レモンティーを飲みながら首を傾げる海宙ちゃん。私はその時のこと、高伸さんに初めて会った時のことを詳しく話始めた。
『入学して何日かした頃かな。ハンカチを落としちゃって、拾おうとしたら風にさらわれて木に引っ掛かっちゃったの』
お気に入りのラベンダー色のハンカチ。どうしようと木を見上げていると、後ろから高伸さんが近付いてきたのだ。
『途方に暮れてたら高伸さんが来てね、ジャンプしてハンカチを取ってくれたの』
「ジャンプで?それはすごいね!」
へぇっと感嘆する海宙ちゃん。見上げる程大きな巨体がぐんっと上に跳んで、引っ掛かったハンカチを取ってくれたのだ。
『ずいっと無言でハンカチを渡してくるからびっくりしたんだ。でも、ありがとうございますって笑いながら受け取ったらね、』
高伸さん、笑ったの。
それはそれは、心から嬉しそうに。
『笑わない人かなって思ってたからね、その笑顔に、なんだろう、ドキってしたの』
「そっかぁ、それで好きになったんだね」
海宙ちゃんは優しく笑った。にこにこする海宙ちゃんに私も笑うと、そこに二口先輩が帰ってきた。
「え、何々?めっちゃ笑ってんじゃん。2人してなんのこと話してたの?」
「え、堅治さんには秘密だよ?」
『ナイショです』
クスクスと笑うと、二口先輩はぶうっと膨れてコーラを飲んだ。それが面白くて、また2人で笑ったのでした。