Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第30章 カレカノ指南?《青根 高伸》
【歌川 side】
"指南"とは、何か。
それは"あることについて教え、導くこと"
だそうです。
そして今の私の状況を簡潔に言うならば、海宙ちゃんと二口先輩にカレカノについて指南されている、そんな感じです。
私、歌川紫乃は伊達工業高校に通う高校1年生です。中学までは引っ込み思案で人見知りが激しかった私。
ところがどっこい、世間で言うところの"高校デビュー"たるものをを果たしました。
そして同じクラスで親友の海宙ちゃんと、その彼氏である二口先輩の力添えもあって、晴れて青根先輩、もとい高伸さんとお付き合いをしている最近です。
そんな私にはある悩みがあります。それは…
『高伸さんと会話が続かないです…』
半ばべそをかいている私。俯いた目の前には半分以上残ったカフェオレ。ただいま某ファミレスにて会議中です。
「くふっ、それは、また難儀な…くっ…」
「堅治さん、真面目に聴く気が一寸も無いのなら、どうぞお帰りくださいな」
「サーセンっしたァ!」
夫婦漫才か、とつっこみたくなるようなやり取りも、今の私にはことさら羨ましい。
『良いなぁ、海宙ちゃん。二口先輩と仲良しで、カレカノ!って感じがする』
「そんなこと。紫乃ちゃんだって、青根先輩と帰ってる時の後ろ姿は恋人だよ?」
「そーそー!青根に彼女ができるなんて100万年先だと思ってたのになぁ!」
「…堅治さん、帰りますか?」
「いや、ホンと、ガチでごめんなさい」
ペコペコ謝る二口先輩。最初こそは初々しかった海宙ちゃんも、今では二口先輩とこんなに楽しそう。
『ねぇ海宙ちゃん、どうして私たちはそんな風にできないのかな…』
「えっと、まずは最近のことを教えてほしいな。青根先輩とはどうなの?」
「俺もそれは気になる」
『はい、実は…』
重い口を開き、私は高伸さんとの近況について語り始めた。