Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第3章 高嶺の花だとしても《岩泉 一》
Lineでは蒼井とこまめに連絡を取るようになった。クラスでのこと、テレビのこと、部活でのことなど、あれこれ話した。
その内に、廊下ですれ違ったりした時にも話すようになったを及川様々だな。特に進展も無く、そんな毎日が過ぎていった。
そろそろテストが近付いてくる頃。学期末テストに向けて、部活動が停止になった。勉強に力を入れようと思った矢先、委員会が入った。
そんなに成績が良いわけじゃねえし、早く家に帰りたかったが、こればっかりは仕方無い。
委員会を終えて、昇降口に行くと、蒼井が靴箱にもたれ掛かっていた。
『岩泉君。あ、そっか、委員会』
「おう。蒼井、帰らねえのか?」
そう訊くと、蒼井は苦笑いした。
『帰りたいんだけど、雨が降ってて…』
言われるまで気付かなかったが、外は雨が降っていた。しかもカサ無しではびしょ濡れ確定の、そこそこ強い雨。
俺は折り畳みのカサを持ってる。蒼井はカサが無くて困ってる。
もしかしてこれ、チャンスじゃねえ?
いやでも、アイアイガサしませんか、なんて
言えるわけねえぇぇぇ!
ええい、どうにでもなっちまえ!
半ば自棄になりながら、俺は彼女にとある提案をした。
「あー、カサ、俺持ってるんだわ」
『えっ本当!?』
「だからよ、その…一緒に帰らねえ、か?」
その言葉に、彼女はにっこり笑い頷いた。