Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第3章 高嶺の花だとしても《岩泉 一》
その日の部活。いつも通りに練習をしていると、及川が気味の悪い笑みを浮かべながら近付いてきた。
「…キモい」
問答無用、先手必勝で言うと、及川は大袈裟に反応した。
「今日は岩ちゃんの方が全然キモいよ!?」
「あぁ!?」
「何ニヤニヤしてんのさ!」
バチーン!と背中を叩かれた。コイツ、意外といてぇな…
「なーんか良いことあったの?あ、海宙ちゃーん、及川さんだよーん♪」
ボールの入ったカゴを押す蒼井を目敏く見付ける及川。
くねくねと腰を動かしながら謎のアピールをする及川。蒼井が何かを言う。及川ががっくりと項垂れたので、例のごとく断られたらしい。
「おーい、岩泉ー」
「んぁ?」
花巻に呼ばれ、振り向く。
「なーに見てんの?」
「あー、クソ川」
「またやってる。ホンと、懲りないな」
「おう」
そんな会話をしながら、ドリンクを飲む。今日はいつもに増して暑い。熱中症にでもなっちまいそうだ。
「なー、岩泉」
「ん?」
「蒼井のこと好きか?」
「ブフォッ」
予想外の質問に、飲んでいたドリンクを思いっきり噴いた。
「げっほ、がはっ!」
「お、図星か」
「るせぇ///」
ここまで分かりやすいのもどうだか。自分でそう思いつつ、なんだか気恥ずかしいので、とりあえず悪態をついておく。
「及川は無いと思うしな。ま、頑張れよ」
「お、おう」
こうして、呆気なく花巻にバレた。その流れで、松川、そして及川にもバレた。花巻のやろう、チクったな。その後、花巻に拳骨が落ちるのは、言うまでもない。