Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第3章 高嶺の花だとしても《岩泉 一》
及川ご執心の蒼井は我らが青城バレー部の敏腕マネージャー。なもんだから、毎日これを繰り広げている。
『あ、岩泉君、これドリンクね?』
「おー、サンキュ」
『花巻君と松川君もどうぞ』
「気が利くねー」
「アザーッス」
蒼井が俺らにスクイズを渡す。待ってましたとばかりに及川も飛び付く。
「ねーねー、及川さんのは?」
『ご自分でどうぞ?』
「ジーザス!」
「クソ川うるせぇ!」
「及川ウザイ」
「及川死ねー」
「みんなヒドくない!?」
こんな具合にウザがられる及川。その実力は県でも1、2を争うセッターだ。全く以て腹立たしいヤツだ。
「及川さーん、ドンマイでーす」
「国見ちゃんまで!?」
「ダーッ!クソ川マジでうるせぇ!!!」
後輩の目の前でこんなことするのもどうかと思うが。とにかく、コイツのアホでバカでトンチンカンでクソでどうしようもないことは分かるだろう。
「付き合おうー。じゃ、キスだけ。ね?」
『ごめんね。及川君、好きじゃないから』
「え、いーじゃん!」
『好きでも何でもない人とキスするのは嫌。及川君もそうでしょう?』
「う~ん、ごもっともなんだよなぁ…」
及川をも断るくらいだから、蒼井は理想が高いのかもしれない。それが唯一の救いであり、また、どうしようもない事実でもある。
つまるところ、俺は蒼井に片想いをしているわけだ。