Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第3章 高嶺の花だとしても《岩泉 一》
【岩泉 side】
真っ黒な髪
ぱっちりとした二重の目
桜色でぷるんとした唇
陶磁器みたいに透き通った白い肌
同じ学年の蒼井海宙はそんな美貌を持った、いわゆる美少女。スラリと手足も長く、首なんか華奢で細いし、腰なんてぽっきり折れてしまいそうだ。
及川みたいなヤツと並べば、お似合いの美男美女のステキなカップルの出来上がり。
実際、俺の目の前では及川が蒼井に絡んでいる。が、会話はカップルなんてものからは程遠い。
「ねーねー、俺と付き合う気になった?」
『及川君も懲りないねぇ。ずっと断ってるのに。いいかげん聞き飽きたよ?』
「ちぇー。いつになったら俺の彼女になってくれるの?」
『う~ん、及川君が死んだら…かな?』
「それダメだよね、絶対ダメだよね!?」
そう。ご覧の通り、及川の猛烈なアピールは全てばっさり斬り捨てられる。
綺麗な見た目に反して、蒼井の口からは、ぽんぽん毒舌が飛び出すもんだから侮れない。まさに、綺麗な薔薇には刺がある、だ。