Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第2章 ☆俺にくださいッ!《西谷 夕》
デーン デーン デーン
デーデデーン デーデデーン
なんとも言えない空気が流れる。やらかしたよ、これは絶対やらかした。ムードもへったくれもありゃしないよ!
なんでスマホの電源切っておかなかったんだろう。なんでマナーモードにしてなかったんだろう。悶々とそう考えていると、またしてもスマホが鳴った。
デーン デーン デーン
デンデデーン デンデデーン
デーデ デーン デ…
『やかましいわぁっ!』
ブツッと音がして、私の手の中で音が止んだ。そろり、と夕を見ると、口を手で押さえて笑いを堪えていた。
「ぶっは、もうだめ。あっはははは!!」
『ご、ごめんー!』
「あっはは、ははっおかしい~!」
文字通り、夕はお腹を抱えて笑い転げた。ころころと床を転がる夕が面白くて、私もつられて笑った。
デーン デーン デーン
懲りずにスマホが鳴る。仕方無くディスプレイを見ると、お母さんからの着信だった。
『あー、もしもしお母さん?』
【ちょっと、あんたなんで切ったのよ!】
『いやぁ、あの…』
電話越しにお母さんが叫ぶ。どう説明するべきか迷ってると、ひょいと夕が私の手からスマホを取り、その耳に充てた。
「あ、もしもし?こんばんは」
【あらー、夕くん?ごめんねぇ、いきなり海宙がお泊まりすることになって】
夕に電話が代わった途端、お母さんのトーンが変わった。電話用の1オクターブ高い声。
「いえ、お構い無く。久し振りに子供の頃みたいに遊んでますよ。高校に入ってからはお互い忙しかったんで」
【そうなの~、よかったわぁ!】
なんか、仲良いな。そう思って会話を聞いていると、不意に夕がトーンを落とした。
「それで、海宙のことなんですけど…」
【あら、あの子なんかやらかした?】
お母さん、娘の前でそれは無いだろ。
「俺にくださいっ!!!」
『はいぃ!?』
【あらー、若いって良いわねぇ】
電話に叫ぶ夕。お母さんの呑気な声がやけに大きく感じた。
っていうか、何言ってんの!?