Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第2章 ☆俺にくださいッ!《西谷 夕》
私の手を引いて体を起こす。夕は眉毛を八の字にさせて、言った。
「キス、急にしてイヤだったよな。海宙の気持ち考えなくて、ごめ…」
『違うよっ!』
謝ろうとする夕の言葉を、遮る。
『それは、違うよ…』
「海宙…?」
繰り返すと、顔を覗き込むようにして夕が訊き返す。私はゆっくりと口を開いた。
『嬉しかったの。キス…っ///』
「そうだよな、イヤで………えっ!?」
うんうんと頷く夕は、私の言葉を聞いて、ぎょっとしたように言った。まるで有り得ないことを聞いたような。
「海宙は、縁下が好きなんじゃ…」
『えぇ?なんで縁下先輩が出てくるの?』
「部活の後、よく一緒に帰ってた…」
『あぁ、アレかぁ』
勘違いをしているらしい夕に、クスリと笑った。わけが分からない、という夕に、ここ最近のことを話した。
『夕のこと好きだからね、縁下先輩に相談したり、アドバイスしてもらったりしてたの』
それで一緒に帰ってたんだよ?と言うと、夕は安心したように、ふにゃりと笑った。
「じゃあ、好きなヤツって…」
『夕に決まってるでしょ?』
「海宙~っ!」
夕が堪えられないというように、また抱き付いてきた。今度は、さっきよりも遠慮無く。さっきも充分遠慮無かったけど。
「好きだ、好きだ好きだ!」
『私も、ずっと夕が好きだよ』
「俺と付き合ってくれる?」
今までで一番、真剣な顔。たぶん、試合の時よりも真剣。
『私こそ、お願いします!』
にっこり笑って言うと、夕もニカリと笑った。そしてどちらからともなく顔を近付けて、2回目のキス。
2人の唇が重なる―――
デーン デーン デーン
デンデデーン デンデデーン♪
その瞬間、どっかのSF超大作映画でマスク被ったお父さんが登場する音楽が。私のスマホの着信音が鳴った。
雰囲気ぶち壊しだな、おい!