Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第2章 ☆俺にくださいッ!《西谷 夕》
びっくりして目を開ける。同じように目を丸くする夕。2人の距離は0㎝…
『夕、離れ…んぅっ!?』
「…っん…」
離れて、と言おうとして、やめた。いや、正確には言えなかった。
距離が出来た刹那、それを埋めるようにして夕が唇を押し付けてきた。
胸板を押しても、叩いても、びくともしない。だんだんに意識がぼーっとしてくる。拒むこともせず、夕の胸板に両手を添え、溶けるようなキスに酔いしれる。
不意に、息が出来なくて、酸素を求めて喘ぐ。すると、自分のモノとは思えないような声が出た。
甘い、あまぁい、女の声。
『ん、ふぅ…ゆ、うぅ……んっ…』
「…っん、海宙…ふ…」
キスの合間に名前を呼ぶ。いつもと違う、低くかすれたその声に、胸がときめく。
ちゅ、ちゅう、と何度もキスをする。夕の手が添えられた頬が、蕩(とろ)けるように熱い。
最後に小鳥がついばむようなキスをして、夕は顔を離した。2人の間を、つぅっと銀の糸が繋がる。
解放された私は、はぁはぁと荒い息をしている。夕も頬を紅潮させていた。
「…なっ!?俺、何して…っ///」
『な、んで…キス…///』
「えっ!?泣くなよ、おい!」
夕に言われてハッとする。頬を触ると、それは涙に濡れていた。