Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第11章 七夕lovers《チーム烏野》
一瞬、思考が停止して、頭が真っ白になる。
「え、これって…」
『もう…だからダメって言ったのにぃ…///』
ぷぅっと頬を膨らませて蒼井が言った。その頬が赤いのは、暑さのせいなのか。それとも…
呆気にとられる俺から短冊をとり、背伸びをして高いところに掛ける。俺の元にとことこ戻ってきた彼女は、えへへと恥ずかしそうに笑って言った。
『バレちゃったんで、白状しますね。ずっと前から好きでした、大地さんのこと』
願い事、叶うのかなぁ…
飾ったばかりの短冊を見詰め、彼女はぽつりと呟いた。その横顔が美しくて、それでいて消えそうな程に儚くて。
気が付いたときには後から抱きしめていた。
『大地さっ…!?』
「なぁ、願い事、叶えてやっても良いか?」
『へっ…?』
「俺の、隣にずっといてください」
今度は、彼女の思考が停止する番。たっぷり10秒待ってから、彼女は驚きの声を上げた。
『えぇぇぇえっ!?』
「俺もさ、好きだったんだ」
『私で、良いですか…?』
「おう、よろしくな」
後からで見えないが、彼女の顔はたぶん真っ赤なのだろう。彼女のお腹に回した腕に、そっと手が重ねられた。
『大地さん、好きです』
「俺も、好きだ」
七夕の日の夕暮れ、1つの恋が成就した。
これは織姫と彦星のお陰かな?
天高く輝くであろう2つの星に、
俺は小さくありがとうを唱えた。
願わくは、彼女の隣で―――
澤村 大地END.