Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第11章 七夕lovers《チーム烏野》
~七夕:縁下 力の場合~
【蒼井 side】
帰り道、そういえば、と隣を歩く幼馴染みの力に話し掛けた。
『今日って、七夕だったね』
「あ、言われてみればそうかも」
1年で1度の七夕。きっとこの日、たくさんの恋が叶うのだろう。良く分かんないけど。
『七夕って、どういう話だったっけ?』
昔、小さい頃に絵本で読んだその話。すっかり忘れてどんな内容だったのか忘れてしまった。だが、物知りな力は難無く答えてくれた。
「あれでしょ、織姫と彦星のやつ。仲良しの2人が仕事をしないって怒った神様が2人の間に川を作っちゃうやつ」
『あぁ、思い出した!』
そうだ、そうだった。
機織りをしている織姫、牛を飼っている彦星。彼らはめでたく結ばれるんだけど、2人共仕事をしなくなっちゃうんだ。それで、怒った神様が2人の間に川を作ってしまった。
涙を流し、悲しみに暮れる2人を憐れに思ったのか、神様は2人にある提案をした。
"真面目に仕事をするのなら1年に1度だけ会わせてあげよう"
喜んだ2人はちゃんと仕事をするようになり、7月7日のこの日だけ、会うことを許されたのでした。めでたし、めでたし。
私は遥か上空に輝く星々を見詰め、微笑んだ。
『あれって、ハッピーエンドだったよね』
「お伽噺って基本ハッピーエンドだからね」
冷静に返す力。同じように見上げていて、彼の目には優しい光が瞬いている。
『私も、ハッピーエンドになるかな…』
ぽつりと呟いたそれを、地獄耳の力は聞き逃さなかった。
「何が?」
『ぬゎんでもないでっすよぉ?』
「日本語おかしいから。どうしたの?」
ダメだ、幼馴染みの耳はごまかせなかった!