Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第10章 ★アナタとワタシ《影山 飛雄》
俺の家に着いて、2人で晩メシを作った。
『なんか…新婚さんみたいだね』
ふふ、と笑う彼女。じっとその横顔を眺めていると、不意に手を握られた。つーかその手、今まで生肉触ってたよな…でも、上目遣いに見てくる彼女を見ると、そんなことは吹き飛んだ。
『飛雄、ちゅー、したいな?』
「俺も今、したいと思った」
果たして、台所でこんなことをして良いのか。まあ、良いのだ。
ちゅっ、ちゅとリップ音が鳴る。2人しかいないという背徳感が、それ以上を誘う。
俺が手をそっと背中に回そうとした瞬間。ピーっと、炊飯器が鳴った。
『あ、ご飯炊けた!』
するりと俺の手から逃れていく彼女。クソッ炊飯器を恨む…
それからは普通にご飯を食べ、普通にシャワーを交代で使い、普通に俺の部屋に向かった。布団は海宙がシャワーを浴びている間に用意しておいた。
布団の上に寝っ転がって、他愛の無い話をする。海宙の話は良いのだが、なんとなくイライラしてしまった。
『それでねー、日向がさ、いつもみたいに月島と口喧嘩しちゃってさぁ…ふふっ』
楽しそうに他の野郎の話をしてきやがる。そして俺のイライラに気付いてねえ。クソ。
「おい」
思ったより低い声が出た。ビクッとして、海宙は俺を見る。トイプードルのようなつぶらな瞳が、俺を捉える。
『なに…?』
「俺より日向や月島が良いのか?」
キョトンとする彼女。だが、その表情は次第に怒りへと変わっていった。
『待って、なんでそうなるの』
「楽しそうに話すだろ。この前だって、日向のこと保健室まで連れてったし」
『それはっ、思い出し笑いです。それに、保健室に連れてくのだってマネージャーとして当たり前のことでしょう?』
「だから、俺はそれが気に入らねーんだよ」
伝わらない気持ちに、イライラが募る。
『飛雄、最近おかしいよ。ねぇ、どうしたの、何かあったの?』
俺の顔を覗き込む。そんなの誰のせいだよ…
「……ぇの、せぃ……ろーが…」
『え?』
「お前のせいだっつってんだよッ!」
『とびっ…!』
彼女が俺の名前を呼ぶ前に、俺が飛び掛かった。もう、抑えきれない。
俺のモノにならないなら、
無理にでもしてみせる。
彼女の首に手を掛け、力を込める。意識が無くなるのを見届けると、俺は嗤った。