Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第10章 ★アナタとワタシ《影山 飛雄》
Scene3:そして土曜日に
【影山 side】
今日は午前中は部活だった。というか、他校との練習試合があった。日向の足は驚異的な回復力を見せて、スタメンとして参戦した。
学校に一旦戻って、軽いミーティング。それから解散になり、明日は体育館の点検も重なって休日になった。
そしてその帰り道。
『明日は休みだー!何しよっかな~』
う~んと伸びをして、彼女は言った。あれもしたい、これもしたいと指折り数えるその姿は、なんだか幼い子供のようで可愛かった。
「なぁ、明日ヒマか?」
ふと、俺は訊ねた。するとブイサインと笑顔で返ってきた。
『もち、ヒマですよ。ってゆーか、私も飛雄も部活が無い日は基本ヒマだよね~』
「親が、旅行してていねーんだよ」
『ん、それで?』
「俺ん家、と、泊まってかねー///?」
『……………えっ///』
呟く声が聞こえるまでに、10秒は待った。みるみるうちに耳まで真っ赤に染まる。
今までにも泊まることはあった。それでも小学校までの話だ。付き合ってからはそんなことしたことがない。
少し考えた後、彼女は俺に控えめに言った。
『と、泊まるってことはさ、その…飛雄はソーユーコト、したいの…?』
"ソーユーコト"
この場合、というか思春期の男女だと
男女のマジワリ
つまりは、ソウイウコト、だ。
まさか海宙の口から先に言われると思わなかったので、少々面食らった。だが、俺としては彼女とソウイウ関係になりたいとは思っていた。結果としては、願ってもないことになる。
「お前がイヤじゃねーなら、その…初めてを俺にくれねーか?」
恥じらいながら、それでも彼女を真っ直ぐに見詰める。
コクリ、と。
彼女は肯定の意で微かに頷いた。
ああ、良かった。
これで彼女を、
その全てを、
俺のモノにできる…
少しずつ、俺の中で何かが狂っていく。
にわかにではあるが、感じていた。