Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第10章 ★アナタとワタシ《影山 飛雄》
チーム戦を繰り広げながら、細かな調整を行う。それを逐一ノートに書き留めるのが、マネージャーである海宙の仕事だ。
今日は途中から清水さんもいなくなってしまったので、先生と2人でてんてこ舞だったように見えた。
「……クイックは…だな……それと…」
大地さんら3年を中心に、作戦を練る。ノートにペンを走らせながら話しに耳をすませる海宙をぼーっとしながら眺めていた。すると、誰かに脇腹をどつかれた。
「オイ、なんだよ日向…」
じろり、と睨み付ける。日向は珍しくニヤニヤしながら言った。
「影山くんは大好きな彼女さんを見ていても話が分かるんですなー?」
「なっんだと、ボゲェッ!?」
ギャー!と言いながら逃げる日向を、追う。それを見て呆れる仲間。海宙は苦笑いしていたが、その笑みは優しかった。
それから練習が再開されて10分。思いもよらないアクシデントが起きた。
速攻に跳んだ日向と、同じく跳んだ田中さんが衝突。日向が足を痛めたのだ。
『日向っ、大丈夫!?』
慌てて駆け寄る海宙。床に座り込む日向の右足首を触診する。
「いっ、そこ、いだだだだだっ!」
痛みに呻く日向、どうやら捻挫だ。
『先生、保健室行きますよね?』
「その方が良いでしょう。蒼井さん、付き添いをお願いしますね」
同じくらいの身長の海宙の肩に掴まり、よろよろと体育館を出ていく日向。その背中を見詰め、またしてもドロドロとしたものが溢れるのを感じた。
俺の海宙なのに。
そうか、これは―――独占欲だ。
その時俺は、唐突に思い出した。今日の朝の占い、山羊座が最下位だったことを。