Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第10章 ★アナタとワタシ《影山 飛雄》
Prologue:日曜の朝
【蒼井 side】
『………ん、ここ…は?』
うっすらと目を開ければ、そこには暗闇が広がっていた。いや、そう見えただけだ。目が慣れてくると少しずつ状況が解ってきた。
カーテンの閉めきられた真っ暗な部屋。その部屋の真ん中辺りに、私は寝かされていた。むくりと体を起こすと、タオルケットが滑り落ちた。
少しだけ開けられた窓から、秋のヒヤリとした風が時折吹き込む。
壁に掛けられた時計からであろう、チクタクチクタク、無機質で一定のリズム。止まることなく、鳴り続ける。
通り過ぎる風の音。
時計の針の音。
私の呼吸音。
耳に届く音といえば、それだけだ。
そして、ここは私の部屋じゃない。ここは、飛雄の部屋だ。
そしてこの状況。良く言えば軟禁、悪く言えば監禁。どう考えても日曜日の光景としては、変だし、それに可笑しい。
『どうして、こうなったんだろ…』
自由の利かない右手を動かせば、ジャラリ…と鎖が鳴る。右手に填められたそれは、オモチャにしては良くできた手錠。その鎖の先は、机の脚に固定されている。
怠い体をどうにか動かし、立ち上がる。机に置かれたペットボトルには、半分まで水が入っている。それと、サンドウィッチ。
部屋の主が出ていってから、どれくらいが過ぎたのだろう。壁掛け時計は、ご丁寧に見えなくされており、時間を知ることを許さなかった。