第1章 はじまり
一週間程前のこと。
「トシ‼ちょっと来てくれ‼」
仕事中の土方を近藤が呼んだ。
「ハァ・・・」
溜息を一つつき、土方は筆を置いて立ち上がった。
ヒタヒタと音を立てながら廊下を歩く土方の顔は、"鬼の副長"を忠実に再現している。
「近藤さん、頼むから仕事をしt「すみませんんんん!」・・・⁉」
スパァァンと勢い良く襖を開け、静かに怒った。
否、怒ろうとした。
しかし、聞き慣れない少し高い声が聞こえてビビ・・・驚いてしまったのだ。少しだけ。
「おおトシ‼来てくれたか!」
そう言う近藤の前には、松平と、近藤に土下座する知らない女。
近藤の言葉を無視した土方の口から出た言葉は、
「誰だそいつァ」