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【テニスの王子様】私の王子様【越前リョーマ夢】

第7章 新しく私らしく



リョーマくんと付き合う事になってから、毎日目覚ましより先に目がさめてるな。

なんとなく悔しくて寝借りを打つけど、時間がある分おしゃれしよう、とかお弁当のおかず1品作れる、とかいろいろ理由を付けて起きる。

11月も半ばに差し掛かり、少しずつ布団が恋しくなるけど、恋の力は偉大。

リョーマくんは時々寝坊しているみたいだけど。

この微妙なタイミングでのイメチェンがどうなるのか気がかりではあるけど、眼鏡を置いて家を出た。

そしてお父さんに買ってもらった自転車を漕ぎ出す。

バスや電車は痴漢が出るから、と与えられてしまいなんとなく気がひけるけれど有難く使うことにした。

緊張は意外としていなくて、少し他人を出し抜くような意地悪な気持ちが生まれているのに気付いた。

新しく、私らしくすればいいよね。

リョーマくんみたいに、自分らしく。青学で。

事務室で自転車通学用のシールをもらい、さっそく自転車に貼っておく。ピカピカのクロスバイク。

携帯が震え、画面を見るとリョーマくんからの『おはよ』。

第二図書室に向かって扉を開けるとリョーマくんが驚いた顔をした。

「おはよう…?」

「あ、おはよ」

「どうかな、織江先輩みたい?」

扉を後ろ手で閉め、少し近付いてくるりとその場で回って見せると、リョーマくんが黙ったままでいるので不安になった。

近寄ってリョーマくんの髪に触れると、リョーマくんがぴくりと動いた。

「ね、聞いてるよね?」

「うん」

リョーマくんの顔が紅くなる。屋上で私の笑顔を見た時みたいに。

「良いんじゃない、でも、ちょっと可愛すぎ」

抱き締められて安心する。

「良かった、黙ってるからびっくりしちゃったじゃん」

「可愛すぎて言葉が出なかった」

顔が熱くなる。

「…それなら、まぁ、いいよ」


お弁当を食べ終わると急に緊張してきた。

「夢子、大丈夫?」

「うん、いや、ううん」

リョーマくんが優しく笑う。

「どっち」

「少し、緊張してる」

「そっか」

手を握られ、自分の手が冷えている事に気付く。

「リョーマくん、少し、私の話しても良い?」

「うん」

「私、小学校6年生の時に、顔が原因で友達に嫌われたの」


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