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【テニスの王子様】私の王子様【越前リョーマ夢】

第5章 彼女



練習試合は現地解散で、私は改めてレギュラーの先輩達に挨拶をした。

「へーぇ!おチビ、めちゃくちゃ綺麗な子捕まえたなー、どこのこ?」

「クラスメイトッス」

「越前も隅に置けないね」

「綺麗な子だね。手塚の彼女と雰囲気が似てる」

「夜野 夢子と申します」

名乗るとレギュラーの先輩達は微笑んで受け入れてくれた。

噂だけできちんと見たことはなかったけど、改めて美形揃いなことに驚く。

桃子先輩、単なる妬みだけでも相当な嫌がらせをされたんじゃないだろうか。

リョーマくんが心なしか誇らしげにしている。

「困ったことがあったら、何でも言えよ」

この前と同じ台詞を言う手塚先輩。お兄さんが出来たみたい。

「って、あれ?もしかして、この前の眼鏡ちゃん?」

桃先輩の声に桃子先輩が驚く。

「は!?桃あんた気付いてなかったの!?」

「え?だってこの前、門で見かけたときは瓶底眼鏡かけた地味ーな感じだったんだぜ?」

「ええと、はい、目立ちたくなくて」

「そりゃこの顔なら目立つよな」

桃先輩がうんうんと頷く。

なんか、この人たちといると、自分の顔が普通に思えてくる。

もしかして、私普通なんじゃない?

「夢子、にやけてるよ」

慌てて顔に手をやると、確かに頬が緩んでいた。

「んじゃ、そーゆーことで、先輩方、夢子が学校で困ってたら助けて欲しいッス」

「ああ」

「うん、分かった」

「まかせてよ」

「仕方ないな」

状況がわからない。

あの、ええと。

「ええと、どういうこと?」

「夢子は、オレがいない時に困ったことがあったら、先輩達に助けてもらってね」

「えと、ありがとう、ございます」

広い校舎内で、困った時に会えるものなんだろうか。

リョーマくんにポンと頭を撫でられ、もう一度先輩達に頭を下げた。

「明日は?」

「美容院」

だって、リョーマくんがバラしちゃったんだから。

「髪、ふわふわにすんの?」

「そう、強くなるの」

微笑むリョーマくんに笑い返す。

「強く?」

「うん、胸張ってリョーマくんの隣にいたいんだ。コソコソするんじゃなくて」

リョーマくんが惚れた女は最高に可愛いって、思い知らせてやるんだ。
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