第13章 桜の精?
リョーマくんにカーディガンを渡すことが出来て、桜の木のところで告白してくれて、今日はなんて幸せな日なんだろう。
「桜の精、私の恋叶えてくれるかな」
「…オレの恋は?」
「えっ?」
リョーマくんが突然言い出した言葉に、驚いた声が出た。
「夢子が叶えてくれないの?」
頬が緩む。ずるいよ、そんな風に言うなんて。だいたい、さっきちゃんと「ハイ」って返事したんだから。
えいっ
強く手を引いてよろけたリョーマくんの頬に触れて、そっとキスをした。
熱い。
唇が熱を帯びていて、外気との温度差に息が白い。
唇を離して、笑ってリョーマくんを見る。
「叶った?」
「まーね」
リョーマくんの赤い頬が愛おしい。
寒さじゃない。熱を持って紅く染まった頬を見つめるとリョーマくんが私を見つめ返した。
『好き』という言葉で済ませるには、好きすぎる。
こんな気持ち、みんな、なんて呼んでるのかな。