第17章 perception
外に出て、周りを見渡すもののあやめさんはいない。
「クソッ!」
暴言を吐き捨てるものの、胸のモヤモヤは消えない。
「頭でも冷やそう…」
このまま誰かに会ったら、八つ当たりしてしまいそう。
少し歩道を歩く。
離れた車道に車に乗り込むあやめさんを見つける。
「あやめさん!」
一瞬こちらを振り向いた気がしたものの、あやめさんはドアを閉める。
乗った車は、こちらに向かって走ってくる。
「あやめさん!」
僕の近くを通り過ぎる直前に車線を変え、走り去った。
「あやめさん…」
声にならない声が出る。
自分で蒔いた種じゃないか。
呆れるよ。
「何やってるんだよ…」
空を仰いで、苦笑する。