第17章 perception
「あ。ごめん。」
ノブくんの手を祓い、スマホを取り出す。
「もしもし?」
「うん。分かった。」
「すぐ行きますね。」
スマホの画面をタップして電話を切る。
視線をスマホからノブくんへ向ける。
「ノブくん…もう行かなきゃ。」
「また来週ね。」
軽く手を振って、外に出て行った。
拳をギュッと握り僕は下を向く。
ずっと考えてた。
かっきーさんに言われて胸がザワザワした。
抱き締めた時に感じた温もり。
鼻腔を擽る香り。
キラフェスに来たって聞いた時は、心の底から会いたいと思った。
『えっと…すごく格好良かったよ。』
胸が躍る。
もっとボクを見てください。
『好きなコって、あのコなのね?』
違う。
僕はあのコが好きなんじゃない。
僕は…
『あやめさんが好き』なんだ。
誤解されたままなんてイヤだよ。
あやめさんの出て行った出口に向けて走り出した。