第17章 perception
スタジオから少し離れた場所へ向かう。
『僕が好きなのは』
聞きたくない。
もう…貴方の口から他の人の名前を聞きたくない。
ハザードを炊いて止まる見慣れた車に近づく。
ドアに手を掛けた瞬間…
「あやめさん!」
名前を呼ばれた気がした。
そんなはず無い。
「お待たせ。悠一。」
「おう。お疲れ。」
「何処行く?メシは?」
「とりあえず、出して?」
「分かった。」
アクセルを踏み、車を走らせる。
歩道に目を向けると…
こちらを見つめるノブくんを見つける。
「車線変えて!」
「え?あ。岡本じゃん。」
「早く!」
「はいはい。」