第16章 presage
「また連れてって下さいね!」
キラキラした視線で、僕を見つめる。
「うん…そのうちね。」
「楽しみにしています!」
何でこのタイミングで来るんだよ…
ん…?
何だろう。
前は、こんな事思わなかったのに…
僕は…このコが好きなんじゃ…?
「パンケーキって?」
横からあやめさんの声が掛かり、ハッとする。
「この前、岡本さんと表参道のパンケーキ屋さんに行ったんです。」
「沢山フルーツが乗ってて、美味しいのよね?」
「そうなんです!月島さんも行ったことあります?」
「うん。よく行くよ~。」
「っと言うか、ノブくんにそのお店教えたの私だし。」
「あー。岡本さんが言ってた『先輩』って月島さんだったんですね?」
「そうよ。」
「じゃあ、またお勧めのお店教えてくださいよ?」
「岡本さんと行くので。」
「………。そうね。新しいとこ見つけたらね。」
「はい♪楽しみにしていますね。」
「じゃあ。私、先に行くから…」
あやめさんは、ボソッと呟き僕たちの傍を離れていった。
僕の視線はあやめさんの背中を追いかける。
「岡本さん?」
「あ”?」
肩をびくっと震わせるカノジョ。
「悪いけど、話し掛けないでくれるかな?」
愛想笑いを浮かべ、僕はその場を離れるべく歩き始める。