第16章 presage
見慣れた背中を見つける。
「あやめさん。おはようございます。」
「あ。ノブくん。おはよう。」
今日のあやめさんは、ネイビーのパンツに白いリネンシャツがよく似合う。
何故だろう。
顔を見るだけで、胸がぎゅっと締め付けられるよう。
この感じ…
『好き』?
いや。違う。
そんなはず無い。
そうだ。この前のお礼言わないと。
「キラフェスに差し入れありがとうございます。」
「喜んで貰えて、良かった。」
ニコッと笑って、僕を見つめる。
「みんな格好良くて、キラキラしてて、すごく楽しかったよ。」
「あ。えっと…」
皆のじゃなくて…僕の…
「あの…僕の…ライブ…」
「あっ…。えっと…すごく格好良かったよ。」
「ダンスも殺陣も凄くて、魅入っちゃったよ。」
ニコッと微笑まれるとあやめさんを直視できない。。
胸がドクンと大きく跳ねる。
「あっありがとうございます!」
「いつもその時に出来る最高のパフォーマンスを出来るように頑張ってます!」
「ふふっ…ノブくんらしい。」
『ノブくんらしい』
自然と笑みがこぼれる。
「岡本さん!」
聞き覚えのある声に振り向く。
「あ…おはよう。」
「月島さんも、おはようございます。」
「おはよう。」
「岡本さん。この前は、パンケーキ美味しかったです!」
「あ…うん。」
「また連れてって下さいね!」