第4章 reading
タクシーに揺られる。
「何かフワフワして気持ち良いです~。」
隣の席に座る中村さんの肩にもたれて、クスクス笑う。
「おい…大丈夫か?」
「えー。何言ってるんですかぁ?」
「全然問題ないです~。」
「お前って、酔うと陽気になるんだな。」
「えへへ。何か楽しくって。」
「それに酔ってないです~。」
中村さんの顔を覗き込むと、プイッと右の窓へと視線を向ける。
「もう!無視しないで下さいよ。」
もたれていた肩から離れ、私も左の窓へと視線を送る。
「どうして私のこと見てくれないんだろう…」
ふぅっと大きくため息をつき、窓に頭を付ける。
ヒンヤリして気持ち良い。
頬を付けると、自分の体温が上がっているのを感じる。
瞼を閉じると、愛しい人の顔が浮かぶ。
はぁ…考えるだけで胸が苦しくなる。
今頃何してるのかな…
………。
全く…私は何を考えてるんだか…。
失笑してしまう。