第29章 constellation
リビングのソファーに座り、髪を撫でられる。
この時間が、すごく好き。
良平と一緒に居られるだけで私は幸せ。
忙しくなるのは、有難い事だけど…
私は、良平と一緒に居られる方がずっと嬉しい。
「あやめ…。」
「何?どうかした?」
台本を捲りながら、良平の肩に寄り掛かりながら聞き返す。
いつもと同じ平穏な時間。
「少し距離を置きたい。」
突然発せられた言葉に耳を疑う。
「え……?」
これはウソだ…夢…。
「俺たち。二人とも忙しくなっただろう。」
「家にいる時間も少なくなったし。」
「あやめもやっと認められて来た。」
「ここからが正念場だと思うんだよ。」
「このまま事務所に黙って、一緒に暮らすのは難しいと思う。」
どんどん話が進んで行く。
絞り出すように、声を出す。
「ちょっと待って…良平…何言ってるの?」
「このまま二人で暮らしても、お互いの為にもならないよ。」
ちょっと待って。
それ以上言わないで。
「別れようか…。」
目の前が真っ暗になった。
息が出来ない。
良平…私を一人にしないで。