第29章 constellation
数日経っても、良平の気持ちは変わらなかった。
荷物は日に日に片付けられ、部屋はガランとしている。
仕事で会えなかった数日の間に、運び出したのだろう。
家に帰るのが辛い。
良平が私から離れていってしまう。
ねぇ…?
好きなのは私だけなの?
『ウソだよ。ビックリした?』って言ってよ。
私が必要って言ってくれたじゃない。
それなのに…
アナタは離れて行く………。
何としてでも引き留めたい。
「いや!」
「もう無理だよ。」
アナタは傷つけるのが上手ね。
胸が苦しい。
それでも私は、想いをコトバへ。
「私は…良平が好き…なのにっ」
「俺は…もう…好きじゃない。」
残酷な言葉が次々突きつけられる。
「行かないで!」
何で…何で…?
「これからは、友人に戻ろう。」
「今まで、ありがとう。」
『ありがとう』なんて言わないで。
優しい言葉なんて聞きたくない。
「じゃあね…あやめ。」
「置いていかないで!」
「一人にしないで」
「ひっく…ひっくひっく」
もう立っている事も出来ない。
息が上手く出来ないよ。
いつもみたいに息の仕方を教えてよ。
ねぇ?
溢れる涙を拭ってくれないの?
私の想いなんて負担にしかならないの?
良平は、もう私を見てくれないの?
閉められた玄関の扉は開かない。