第29章 constellation
リビングのソファーに座り、あやめの髪を撫でる。
「あやめ…。」
「何?どうかした?」
台本を捲りながら、俺の肩に寄り掛かりながらあやめが問う。
「少し距離を置きたい。」
心拍数が一気に上がる。
「え……?」
あやめが目を丸くさせ、俺を見つめる。
平静を装い、あやめを見つめ返し言葉を発する。
「俺たち。二人とも忙しくなっただろう。」
「一緒にいられる時間も少ない…。」
「今では、あやめもやっと認められて来た。」
「ここからが正念場だと思うんだよ。」
「このまま事務所に黙って、一緒に暮らすのは難しいと思う。」
「ちょっと待って…良平…何言ってるの?」
泣きそうな顔で、俺の腕を掴む。
その腕を外し、続ける。
「このまま二人で暮らしても、お互いの為にもならないよ。」
最後に残酷な言葉を告げる。
「別れようか…。」
本当は、こんな事言いたくない。
好きで好きで仕方ないんだよ。
でも、俺と居たらあやめは先に進もうとしない。
きっとダメになる。
せっかく掴みかけたチャンスを逃す訳には行かないだろう。