第1章 店内
「ピエロマスク………!?」
ピエロマスクとは、アオギリや魔猿、ブラックドーベルに並ぶほど強い喰種集団のマスクだった。
メンバー、目的、一切不明。謎の喰種集団として言われているピエロマスク。
何で…ウタさんがこのマスクを?
そして、何で私に…………?
「ウタさん…どうして、ピエロマスクを…?」
ウタさんの赤い瞳が、血色のように赤くなる。
ピアスの唇をにっこりとひきつって、彼は答えた。
「そのうち分かるよ。」
このマスクのようににこりと笑うウタさん。
別に、私は喰種の力としては、強い訳じゃない。
多分、想定B~Cレート辺りだと思う。
最近、赫子が出せたばっかりのへなちょこだ。
だから、あんな強い集団のマスクなんて、被る身分でもないのに……
でも、ウタさんが私のために作ってくれたマスク。ありがたく頂戴しよう。
「ありがとうございます、マスク、是非とも使わせていただきますね?」
ウタさんは目を細めて、「どういたしまして」と答えてくれた。