第1章 店内
「んぁ?別にいーよ、わざとだし」
わざと男装!?
世の中色んな人がいるんだなぁ…
「それより!ウタさん、俺のマスクは!?」
「あぁ、アサのマスクならツムギさんのところへ送ったよ。何か装飾してくれるらしい。」
「えぇ~、あのキナ臭いババァのトコ行かなくちゃなんねぇのか~」
綺麗な金髪を掻き分け頭をポリポリと弄るアサ。
やがて「行くか…」と一言溢し玄関へ向かった。
「あ、って言ったな。」
「えあっ…ハイ!?」
いきなり名前を呼ばれてビックリした。
「じゃーな!」
白い歯を見せ手を振れば、アサは店の扉を閉めた。
「あ…あはは…」
アサ…か……
君って言えばいいのかちゃんって言えばいいのか………
「ちゃーん、マスク…」
「あっ!」
すっかり忘れてた、ウタさんのマスク。
「はい、これが新しいマスクだよ?」
反った板にでこぼことした装飾。巻かれた包装紙を丁寧にちぎり見えた仮面は_______
道化師のマスクだった。