第1章 憂鬱な時間
僕は、この図書室の雰囲気が好きだ。
静かだが、柔らかい。
ゆったりとした時間が流れているような気がする。
だから、
壊したくないんだ
この図書室の雰囲気を
「千陽先輩って、ほーんと考えてませんね」
「な、僕だって考えてるよ」
「何をです?」
「…この図書室の雰囲気を壊したくない」
「で?」
「お前、『で?』って何だよ」
「壊さなければいいんでしょう?」
「まぁ、な」
「壊しませんよ、雰囲気」
「え…」
意外だ。
コイツのことだから、何も考えずに言ったものかと思った。
「私が千陽先輩の大切なものを壊す訳ないじゃないですか‼︎」
コイツ。本当に
「馬鹿だな」
することが直球過ぎる。
でも、
「しょうがねぇ、やってみっか」
「本当ですか?」
「当たり前。するなら本気でするぞ」
馬鹿馬鹿しい計画。
できるかは
僕ら次第。