第1章 Sid~極上の女~
一通り泣くと、
その暖かな感触に
少しずつ気持ちが落ち着いていく…。
「シド…ありがとう…
最高の誕生日プレゼント…」
「喜んでもらえたならよかった。」
そういって頭をポンポンと撫でながら、
私を引き寄せた。
なんだか私ずっと泣いてばっかりだな…
「シド、よく会えたね。」
「まぁな。住所はジルから聞いたし、
お前も俺のこと
少し話しておいてくれたから、
話は早かったな。」
「にしても…」
シドがフッと笑う。
「…?」
「最初すげー緊張してたけど、
酒入ったらだいぶ面白かったぞ。
さすがお前の親だな。すぐ打ち解けた。」
それを聞いて疑問が浮かんだ。
「ねぇ…通訳か誰かと一緒に行ったの?」
「いや、俺一人。
日常会話程度ならお前の国の言葉、
話せるんだよ。」
「えっ!?そうだったの!?」
「ああ。昔仕事で必要になって覚えた。
特に言う必要ないと思って
お前には言わなかったけど。」
「そうだったんだ。」
シドにはいつも驚かされてばっかりだな…
「だから、俺アレ知ってたぜ。」
「え?」
シドが私の泣きべそ顔を除き込む。
「…っ?」
「よかっただろ?
エキベン。」
「!!!」
顔が、耳や首まで真っ赤になる…!
「ちょっ…………………!!」
言葉が出ない…
「クッ……アッハッハッ…!」
シドが声をあげて笑った。
「あー最高にいい顔見た!
あー面白れぇ!
やっぱ飽きないわ、お前!」
涙まで浮かべながら笑ってる。
「っもう…!しっ信じらんない…!」
やっと言葉が出た。
「だ、だいたい、日常用語じゃないし!」
「バカだな、他言語覚えるには
その国のヤツとその言語で話すのが
一番手っ取り早いんだよ。
で、打ち解けるにはワイ談が最良と。」
「んもう!そんなこと聞いてんじゃない!!
シドのいじわる!!もう知らない!!」