第91章 はめ込まれたパズルのピース
「私の初期刀。山姥切国広。私が最初に選んだ刀。あなたに出会った日も覚えてる」
「そうか」
一言言ったまんばちゃんは目を擦る
「まんばちゃん、ただいま」
「あぁ、おかえり。おかしいな、目から水が止まらない、俺が写しだからか」
久しぶりのまんばちゃんの温もりに安心する
「兄弟?主殿?如何された!」
まんばちゃんと抱擁していたら山伏さんの声がした
「兄弟、主が、主の記憶がっ」
「そうであるか!戻ったんだな」
山伏はうんうんと頷きそう言った
「山伏さんっ、ただいま」
「ああ、おかえり主殿。このままでは風邪をひくから、1度部屋に行ってから皆に知らせよう」
「すまない、兄弟」
「なに、めでたいことだ。とりあえず主殿は髪を乾かして、それから広間ヘ行くとしよう。拙僧が皆を集める。兄弟は主殿の傍へ居てくれ」
「あぁ、わかった」
山伏さんの指示に、まんばちゃんに連れられて部屋へ向かった
髪を乾かしている間、まんばちゃんは近くでその様子を見ていた
「佳奈、俺は、あんたの事が、好きだ」
「……えっ」
後ろからいきなり抱きつかれて、耳元で囁かれた
いきなりのことにドライヤーを落としてしまった
それと同時に襖が開いた
目線を泳がせると光忠がいた
ドライヤーの轟音だけが鳴り響いていた
「ご、ごめん、いきなり開けて、ノックすべきだよね、どうかしてる僕」
すごい勢いで襖が閉まった