第85章 アルバム
不愉快、嫌い、大嫌い、出てけ
投げられた嫌悪の言葉が頭の中でずっと流れた
手入れ部屋を出た後、私は庭を出てまだ行ったことのない、裏山に足を踏み入れた
少し行ったところにベンチがあって座りこむ
さっき言われたことがショックで、涙が出てくる
前にも言われたことのある気がして、脳にプツリプツリと映像が流れた
知らない男の人に馬乗りになられて殴られて
お前が嫌いだ、言うこと聞けない奴なんか生きてる意味がない、お前のせいだ、ふざけんな
私に対して言っている映像が流れ始めた
過去に恋人が豹変してDVされたことを思い出す
それから、過去の記憶が断片的に流れてきて、仕事で失敗した時のこと、線路に立って電車に轢かれて死のうとした時のこと、ロクにまともな恋愛をしてこなかったこと、学生の時に仲良かった子に裏切られたこと
罵詈雑言を投げられたことを思い出した
いらない、消えろ、お荷物、いなくなれ、期待してない、嘘つき、卑怯者、偽善者、死ねばいい、嫌い、不愉快
ぐるぐるといろんな声が聞こえる
走馬灯のように断片的な記憶達が駆け巡った
呼吸が上手くできなくて、頭も少し痛くて、動悸が激しくて、涙も止まらない
手も足も痺れてきて、ベンチに座ることが出来なくなって地面に倒れた
呼吸を整えようとしても、酸素を吸うことしかできなくて、視界もぐるぐると目が回って、気持ち悪くて余計に呼吸が早くなる
苦しくて堪らなくて、起き上がることができなくて、このままここで死ぬのかと思った