第82章 第一印象は重要
「佳奈、やっと見つけた」
私はいたたまれなくなって、広間から逃げ出した
馬が居る小屋の近くでうずくまっていると、声をかけられた
「………ごめんなさい、私なんて気持ち悪いですよね。ごめんなさい」
「佳奈はそんなことない。本当に、忘れちゃったの?」
「……はい」
「それなら、一緒に思い出そうよ。僕は燭台切光忠。よろしくね」
「燭台切さん?よろしくお願いします」
燭台切さんと言ったら少し目の前の男の人は悲しそうな顔をした
私は何もかも忘れてしまった
どこで生まれたかもどうやって生きてきたかも分からない
気づいた時には知らない人に囲まれて喋る狐もいてパニックを起こしたのが記憶に新しい
そして喋る狐にいろいろ世話をされて、なんだかんだ着いていくと大きな日本家屋に連れてこられて、大きな部屋に通された
狐に座るよう促されて座ると、小学生くらいの男の子が私の目の前に来て謝ってきた
意味がわからなくて苦笑いを浮かべた
次に布を被った高校生くらいの子がきて、私が生きていたことに安心したと言われて本当に意味が分からなかった
そして目の前にいるホストみたいな人は私を探して話しかけてきた
一緒に思い出そうよって言ったけどチャラそうで、薄っぺらい言葉にしか聞こえなくて信用できそうになかった